インチ工具とは?
「インチ工具」は、一般的にインチ単位で測定または設計された工具のことで、特にアメリカで使用されているサイズ表記です。
インチ工具とミリメートル法工具は、多くの場合、互換性がありません。そのため、作業を行う部品や機器の設計基準に応じて、適切な工具を選択することが重要です。例えば、アメリカ製の四輪車やハーレーダビッドソンのようなアメリカ製の二輪車を修理する場合、インチ工具が必要となる場合が多いです。逆に、国産車のメンテナンスにはミリメートル法のミリ工具を用います。二つの単位系は互換性が無いため、ボルトとナットの角が滑ってしまうなど、使用する機器や部品の設計基準に合った工具を選択することが大切です。
ハーレーダビッドソンのメンテナンスを自分で行うため、またはアメリカ製の機器を扱うためにはインチ工具セットが必要不可欠です。しかし、ハーレーダビッドソン自体がインチ工具やそのセットを提供しているわけではないので、適切なインチ工具セットを別途購入することが推奨されます。
インチとミリの単位の違い
1インチは25.4mmです。
よく工具には3/8とか1/4の表記がありますが、これはインチの表記です。ミリにサイズ換算すると...
3/8=3÷8×25.4=9.525 となり、3/8インチは9.525mmになります。
1/4=1÷4×25.4=6.35となり、1/4インチは6.35mmになります。
インチ | ミリ | 略称 |
---|---|---|
1/8 | 3.175 | 1分、イチブ |
1/4(2/8を約分) | 6.350 | 2分、ニブ、シブイチ |
5/16 | 7.9 | 2分5厘、ニブゴリン |
3/8 | 9.525 | 3分、サンブ |
7/16 | 11.1 | 3分5厘、サンブゴリン |
1/2(4/8を約分) | 12.7 | 4分、ヨンブ、ニブイチ |
9/16 | 14.3 | 4分5厘、シブゴリン |
5/8 | 15.875 | 5分、ゴブ |
3/4(6/8を約分) | 19.05 | 6分、ロクブ |
7/8 | 22.225 | 7分、ナナブ |
1 | 25.4 | インチ |
差し込み角?ドライブ角?とは?
ソケットレンチには四角い穴があり、それを「差し込み角」といいます。ソケットレンチを使う場合には必ずハンドルレンチ(ラチェットハンドル・スピナーハンドル等)を使うのですが、そのヘッドの部分にある四角い部分をソケットレンチに差し込みます。
四角を英語でスクエア(spuare)といい、そこからsqの文字を使って、1/4sqや3/8sqなどの表記になります。角ドライブ(drive)と呼ぶ場合もあるので、その場合は1/4drという表記にもなりますが、結局は差し込み角も角ドライブもsqもdrも同じ意味なんです。
ラチェットレンチやスピンナーハンドルなどのドライブ角やソケットの差し込み口は、ミリ工具インチ工具関係なく、インチサイズが世界規格になります。もともと差し込み式のソケットを作ったのがアメリカだったため、インチの規格がそのまま差し込み角として今も採用されています。
差し込み角に色々なサイズが存在する理由は?
ネジやボルトの大きさによって締め付ける力が異なります。一つの差し込み角だけではすべてのサイズのネジやボルトを緩めたり締めたりすることは難しいため色々な差し込み角が存在します。
表記(インチ) | サイズ(ミリ) |
---|---|
1/4 | 6.35 |
3/8 | 9.5 |
1/2 | 12.7 |
3/4 | 19 |
1 | 25.4 |
1と1/2 | 38.1 |
2と1/2 | 63.5 |
3と1/2 | 88.9 |
ソケットの口径サイズの守備範囲(レンジ)は重なっています。 例えば口径サイズが10mmのソケットだったら、1/4、3/8、1/2の守備範囲として適正です。作業によっては、3/8、1/2の両方が揃っていた方がいい場合もありますが、最初は3/8にしておけば、車やバイクの整備の場合は問題ありません。
差し込み角が違う同士のレンチは?
差し込み角が違うとレンチ同士は差し込めませんが、変換アダプターを使うことにより、使えるレンチが増えます。3/8を1/4サイズに縮小するものや、3/8を1/2に拡大するものがあります。ただし、規格を拡大しても強度は元の規格のままで、必要以上の負担が工具へかかってしまったり、正確なトルク管理ができなるので、あくまでも変換を必要としていない規格の通りのサイズをそろえることが理想的です。
すべてのサイズを覚える必要はありませんが、よく使うサイズは頭に入れておくと役立ちます。
工具の世界はとても深く、さまざまなテクニックや応用方法が存在します。工具選びがより知識に基づいたものになると、作業が楽しく安全で効果的になりますよ!