自分でエンジンオイル交換(下抜き)
エンジンオイル交換は、車のコンディション維持に不可欠です。ガソリンスタンドやオートバックス、イエローハットなどの車用品店を予約して交換を依頼する方も多いですが、車を利用する頻度が多い方ほど自分でエンジンオイル交換を行うと、燃費の低下を抑えられ、トータル維持コストを抑えることができるのでおすすめです。
少し手順が複雑で、工具の準備や慣れるまで時間もかかりますが、自分の手で行うことで、より車に愛着が湧くかも!?是非チャレンジしてみましょう!
エンジンオイル交換には、「上抜き」(専用のオイル交換器を使用し、ボンネットを開けた状態で行う)と、「下抜き」(エンジンの下にあるオイルパンからオイルを抜く)の2種類があります。今回は、少し手間はかかるけど、オイルエレメント交換も可能な「下抜き」についてご説明します。
エンジンオイル交換の手順①:準備
まずはエンジンを始動させ、5分程度暖機運転を行いましょう。暖機運転を行うことでオイルが温まって軟らかくなり抜けやすくなります。暖機運転が終わったら、車のボンネットを開けてオイル吸入口のフィラーキャップを緩め、レベルゲージを少し抜いておきましょう。
直後はエンジンがかなり熱くなっているので、やけどに注意してください。
(オイル吸入口のフィラーキャップを緩めておきます)
エンジンオイル交換の手順②:車をジャッキアップ
車のジャッキアップを行います。ジャッキアップは坂道や砂利道など、路面が不安定な場所ではジャッキが倒れることもあり大変危険です。広く平らな場所で行うようにしてください。また、ジャッキアップの際は正しい位置のジャッキアップポイントにガレージジャッキを当てて行いましょう。ジャッキアップポイントは取扱説明書やメーカーのウェブサイトで確認できます。(少しジャッキアップして、ジャッキアップポイントに当たるかを確認してください)
(タイヤが浮き、ジャッキスタンドが入るくらいまで持ち上げます)
ジャッキアップができたら、ジャッキスタンド(ウマジャッキ)を使って車を支えましょう。クルマの下に潜る場合は万が一に備えてタイヤをクルマの下に入れるなど、とにかく危険を避け、車に挟まれることがないように念には念を入れて行ってください。
エンジンオイルの交換の手順③:ドレンプラグを外し古いエンジンオイルを抜く
車をジャッキアップしたら、エンジンオイルを受け止めるためのオイルドレンパン(オイル受け)を置きます。(市販のオイル回収ボックス等のオイル受けでも可)その後エンジンの下部にあるオイルパンのドレンプラグ(ドレンコック、ドレンボルト)を外してオイルを出します。
ドレンプラグは左回しで緩みます。はじめはきつく締まっているのでコンビネーションレンチやソケットレンチを使いますが、一度緩めば手で回せるようになります。作業を行う際は使い捨てゴム手袋など装着してから外すことをお勧めします。
ドレンプラグを外すと勢いよくエンジンオイルが流れ出てくる為、エンジンオイルが熱い状態で抜き取ると火傷の恐れがあるので十分に注意してください。
(ドレンプラグが外れた時点で、勢いよくエンジンオイルが流れ出てきます)
エンジンオイルが汚れている場合がありますが、それはエンジン内がきちんと洗浄されている証拠です。エンジンオイルが完全に抜けるまで、少し待ちましょう。
エンジンオイルの交換の手順④:ドレンプラグを締める
先ほど抜いたドレンプラグ(ドレンコック、ドレンボルト)にはパッキンが付いています。ドレンパッキンも古くなってくるとオイル漏れの原因になりますので、毎回新品に交換することをお勧めします。
(車種によって大きさや厚みが変わる為、適合サイズを用意しましょう)
エンジンオイルが完全に抜けたら、新しいパッキンを付けたドレンプラグをオイルパンの排出口に取り付けます。ただし、ドレンプラグを締めすぎないよう注意しましょう。
締めつける際に力をこめすぎると、オイルパンのネジを破損してしまう恐れがあります。そうなると修理が大変&高額になってしまうため、初めてチャレンジする方は特にトルクレンチを使用して適正な力で締めることをお勧めします(今回は17mmソケットを使用)
(車種によって適正なトルク値が違うので、「車種 ドレンプラグ トルク」などで検索してみてください)
以上でエンジンオイルの抜き作業は終了です。
エンジンオイルの交換の手順⑤:オイルエレメント交換
次に、オイルエレメントの交換です。オイルエレメントは、エンジンオイルの汚れを取り除き、クリーンな状態に保つ役割を果たします。オイルエレメントを交換せずに放置しているとエンジンオイルの性能が低下し、エンジンに負担が掛かることで燃費が悪くなり、故障の原因となります。オイルエレメントはオイルフィルターレンチやベルトレンチで回すと取り外せます。オイルエレメントを外す際にもエンジンオイルが出るため、オイルドレンパン(オイル受け)を準備してください。手を汚さずに済むオイルフィルターキャッチャーもおすすめです。(一度緩めた後は、手で回して取り外せるようになります)
新しいオイルエレメントを取り付ける前に、取付面についているゴミやオイルを拭取り、古いオイルエレメントのパッキンが残ったままになっていないか確認してください。(汚れが残ったままだとオイル漏れの原因になります)
(新しいオイルエレメントのゴムパッキン部分にエンジンオイルを軽く付着させておくと、取り付け時のよれや固着を防止できます)
オイルエレメントの取り付けは、ゴムパッキン部分が座面に接触するまで片手で回します。その後、目印を見つけて3/4回転させてください。締めすぎると次回の交換時に外しにくくなるので注意しましょう。
エンジンオイルの交換の手順⑥:新しいオイルを入れる
車をジャッキから降ろし、水平な状態に戻します。緩めておいたフィラーキャップを外し、新しいオイルを注ぎます。使用するオイルの種類や量は車種によって異なりますので、メーカーのWEBサイトや取扱説明書を必ず確認しましょう。オイルを注入するにはオイル用じょうごやノズルの長いオイラーなどを使用すると便利です。
(オイル用じょうごを使うと、便利にオイルを注入可能)
オイルネーターにオイルが付着してしまうと故障の原因になるので、オイルはゆっくり入れるようご注意ください。特に寒い時期はオイルが硬くなって入りにくくなっているので慎重に行ってください。
エンジンオイルの全体量の約半分を注いだら、暖機運転を実施します。オイルエレメントまでオイルが回ってない状態なので一度エンジンをかけてオイルを回し、オイルが適量入っているか確認します。キャップを締めてエンジンを始動し、オイルチェックランプが消えるまでエンジンをかけてください。
暖機運転後、オイルレベルゲージを確認しましょう。オイルレベルゲージに二つの目盛りがあり、その間にオイルが入っていることを確認しましょう。上の印を超えてオイルが入ってしまうとエンジン内の摺動(しゅうどう)部分の抵抗になり、せっかくオイル交換をしたのに反対に燃費が落ちてしまいます。オイルレベルゲージを細かく確認し、少しずつオイルを足すようにしましょう。
(レベルゲージの8~9分目くらいが目安)
これでオイル交換の作業は終了です。
エンジンオイル交換の目安
エンジンオイル交換のタイミングは運転状況によって異なりますが、一般的には走行距離3,000km~5,000kmまたは3ヶ月~6ヶ月が目安とされています。古いエンジンオイルのまま走行しているとオイルの粘度が失われてエンジンの保護効果が低くなり、部品同士の摩擦が起きてエンジンの故障、オイル漏れなどに繋がります。定期的に点検を行い、交換するようにしましょう。
さらに、エンジンオイルをろ過するオイルフィルターは、エンジンオイル交換の2回ごとに1回交換することがおすすめです。